【プロが監修】コーヒーのゲイシャとは?世界で一番わかりやすく解説

奇跡のコーヒー!?

ゲイシャはコーヒーを飲みなれていない人でも、普通のコーヒーの味とは違う!…と、感じられる特別なコーヒー。
ジャスミンの香り、レモンの甘みと酸味。誰もが言葉を尽くして、その魅力を語ろうとします。

最近は、さまざまな場所でゲイシャが楽しめるようになりました。しかしゲイシャが今でも特別なコーヒーであることに変わりはありません。

なぜこれほどまでゲイシャのコーヒーは世界を熱狂させるのか?
ゲイシャとその魅力について、アドバンスド・コーヒーマイスターのHiromi Bさんが分かりやすく解説してくれました。

ゲイシャの基本を知る

ゲイシャ(Geisha)は、スペシャルティコーヒーの中でも、世界中からもっとも注目を集めているコーヒーです。まずはゲイシャがどんなコーヒーなのかを探っていきましょう。

ゲイシャ種とは?

ゲイシャは、コーヒー品種の一つです。
コーヒーの品種には、アラビカ種とカネフォーラ種(ロブスタ種)の2つがあり、ゲイシャはアラビカ種に含まれます。

カネフォーラ種は、病害虫に強く、主にインスタントコーヒーの原料などに使われています。
アラビカ種は、さらに多くの種に分かれおりゲイシャ種もそのうちの一つです。高品質で豊かな風味のスペシャルティコーヒーは、アラビカ種から生まれています。

ゲイシャは他の品種に比べても高木となり、葉・果実・種ともに他の品種と比べて細長いのが特徴です。標高の高い農地で栽培されるコーヒーの中でも、ゲイシャは特に標高が高い場所で栽培されています。

標高が高いほど昼夜の寒暖差が大きいため、果実がゆっくり成熟することで風味が豊かなコーヒーを生み出すからです。
ゲイシャは栽培自体も難しく、収穫量は他のコーヒー品種の半分以下という希少性が価値を高める1つの理由になっています。

名前の由来

ゲイシャの主な産地は中南米です。
後述するパナマの影響によりゲイシャはパナマで有名になりましたが、原産地はエチオピアのゲシャと呼ばれる地域。そのゲシャ(Gesha)地域から、ゲイシャと呼ばれるようになりました。

日本の芸者と関係はないのですが、どこか印象的な響きの名前ですね。

ゲイシャ種の歴史

ゲイシャの発見から、世界的に有名になるまでの歴史をたどってみましょう。

1931年:エチオピア南西部ゲシャ地区で発見。

1953年:ケニア、タンザニア経由で、コスタリカ中南米農学研究所CATIEへ。

1960年:同研究所からパナマへ。しかし栽培が難しい上に生産性が低く、味も悪かったため、見放される。

2004年:パナマのエスメラルダ農園の片隅に、隔離されていたゲイシャがすばらしい果実を実らせていたのを発見=ゲイシャの再発見!

パナマの国際オークション「ベスト・オブ・パナマ」に出品したJarmillo Especialが最高落札価格、ポンドあたり21ドルを記録。

2010年:同オークションでは、落札価格はポンドあたり170ドル。

2018年:毎年最高落札価格を更新し続けて、ポンドあたり803ドル。

数十年に渡り見捨てられていたゲイシャが、素晴らしい味わいを持つ果実を実らせた事で2004年のオークション出品につながり、世界中から最高級のコーヒーとして認められるようになったのです。

ゲイシャの価格帯

ゲイシャは高額なコーヒーとして有名ですが、私たちが購入する場合、いったいどれくらいの販売価格になるのでしょうか。
目安となる店頭での豆売り100g当たりの価格を見てみましょう。

この表は様々な店でリサーチしたもので、シングルオリジン(単一農園)ゲイシャの豆100g当たりの販売価格です。
(執筆時点の2018年10月現在の調査)

農園名 豆100g当たり
パナマ エスメラルダ農園 2,160円
パナマ エスメラルダ農園 1,800円
パナマ エスメラルダ農園 3,240円
パナマ エスメラルダ農園 2,360円
パナマ エスメラルダ農園 2017 ベスト・オブ・パナマ 35,000円
パナマ カルメン農園 4,000円
エチオピア ゲシャビレッジ農園 1,260円
エチオピア ゲシャビレッジ農園 1,500円
コロンビア ゲイシャ(農園名無し) 1,600円

かなり価格に開きがありますが、Eを除けばゲイシャ100g当たり1,260〜4,000円、自家焙煎店で販売されている一般的なシングルオリジンのコーヒー豆のおよそ2倍以上の価格感です。

5段目のゲイシャは、2017年に最高落札額を記録したオークション・ロットなので普通のゲイシャよりも特別なゲイシャです。

こうしたゲイシャの豆を使って淹れたコーヒーが、コーヒー専門店では一杯1,500〜2,000円、時にはコンビニでも一杯500円などで提供されています。

現在もゲイシャの栽培は加速しつつある

ゲイシャ種のオークションは、ちょっと過熱しすぎのようにも思われます。ですが注目を浴びたことで、さまざまな農園が積極的にゲイシャの栽培に挑戦するようになってきました。

ゲイシャに出会える機会が増えるのであれば、コーヒーファンとしては嬉しいですね!
しかし最高のゲイシャは10%にも満たない、という意見もあります。

なぜならゲイシャ種も栽培される国や環境により大きく味が異なるからです。ゲイシャ種のコーヒーが全て、特に優れた風味を持つのか?というと答えはノーです。

ぜひご自身の好みにあった生産地や値段から、ゲイシャを探してみてください。

ゲイシャを生産している国・産地

同じゲイシャ種のコーヒーを栽培しても、産地の気候風土によって、その風味は変わってきます。

ワインでいう「テロワール(風味特性)」という言葉が、スペシャルティコーヒーの世界でも使われるようになったのは、コーヒーの風味において、産地の気候風土の影響が大きいことがわかってきたからです。

コーヒーもシングルオリジンのように、どの農園で作られたものかの、明確なトレーサビリティがわかるようになってきたことも、テロワールを重視する傾向に拍車をかけています。

主な生産国 主な生産地 生産地の気候風土 主な精製方式
パナマ ポケテ、ボルカン バルー火山の山裾。霧が多く、気温の上昇が抑えられる。 ウォッシュト
エチオピア ベンチ・マジ地区、シダモ県グジ地区 雨季と乾季が明確に分かれている。高地は年間平均20℃で冷涼な気候。 ナチュラル・ウォッシュト
コロンビア ウイラ、カウカ、ナリーニョ コロンビア中央山岳地帯のポパヤン高原など、昼夜の寒暖差が大きく、降水も豊富で、高品質のコーヒー栽培に向く。 ウォッシュト
コスタリカ タラス(1,200〜1,700m)
セントラルバレー(1,000〜1,600m)
東はカリブ海、西は太平洋に挟まれた国土のうち、産地は標高が高い地域に集まる。 セミウォッシュト(水量を抑えた水洗式)
ホンジュラス チナクラ 熱帯に位置し、北はカリブ海、南は太平洋に面している。山岳地帯は冷涼で、雨季、乾季がある。 ウォッシュト

ゲイシャの代表的な農園

各国の代表的なゲイシャを栽培している農園を、いくつか紹介します。

【パナマ】エスメラルダ農園

2004年の「ゲイシャ・ショック」を起こした農園で、パナマ西部・パルー火山の山裾に位置し平均標高1,600mにあります。

豊かな降雨に恵まれ、農園内に天然林が保護されているなど自然環境が非常に豊かな地区です。
農薬を使わずに、完熟ベリーのみを手摘み。収穫後の加工も最新の注意を払い、高品質のゲイシャを提供しています。

【パナマ】ドン・パチ農園

パナマにおけるゲイシャ発祥の農園です。パナマ西部の国境に近いポケテ渓谷、カジュホンセコ地区にあります。1963年に、先代オーナーがコスタリカの研究所からゲイシャ種を持ち帰り、農園に植えたのが、パナマ・ゲイシャの始まりです。

イタリア系移民の先代オーナーが、仲間から親しみと尊敬を込めて「ドン・パチ」と呼ばれていたことから、農園の名前が付けられました。

試行錯誤の結果、ドン・パチ農園のゲイシャは標高1,450m以上に植えたものにゲイシャ独特の風味が出ることがわかった…とのことです。

【パナマ】ジャンソン農園

パナマのコーヒー産地の一つ、ボルカンにあるコーヒー農園。標高1,700m。
ジャンソン・ゲイシャは、2015年にスターバックスの店舗で販売されたことでも知られるようになりました。

【パナマ】バンビート農園

パナマの西部のチリキ県、標高1,660〜1,850mに農園があります。パナマでも有数の自然の宝庫に位置しています。ゲイシャはウォッシュトで精製しています。

【パナマ】カフェ・コトワ農園

パナマ、ポケテのバルー火山斜面にあるカフェ・コトワ農園には4つのセクションがあり、うち3つのセクションでゲイシャを栽培しています。
有機農地の「ダンカン」や、ポケテ谷の東側の湿度が高い地区でゲイシャ専用の農地「リオクリスタル」など、シングルオリジンの先を行く農園の中のセクションによるテロワールの違いを追求しています。

環境に配慮しながらも、近代的農法を取り入れている農園です。
2012年オークションで1位を受賞しています。

【パナマ】カジュホン農園

パナマ、バルー火山北西に位置する農園です。標高は1,820-2,110m。バルー火山南西のボルカンより標高が高く、冷涼な気候の高原です。同じパナマでも、ボケテのゲイシャとは異なる特徴の風味。

【エチオピア】ゲシャビレッジ

ゲイシャの故郷である、エチオピア南西部ゲシャ村に農園はあります。標高1,900〜2,000mの高地です。2011年に元映像クリエイターのレイチェル・サミュエル氏が500ヘクタールの農園開発を開始。他の作物とコーヒーを栽培しています。

現在のゲイシャの起源となった品種や、よく似た品種を栽培しておりパナマのゲイシャより優しい甘さの印象。

【コロンビア】サントゥアリオ農園

コロンビア、エコトポ、ポパヤン地区に農園はあります。標高は1850〜2100mの高地です。
2006年、栽培の難しいゲイシャの栽培をテスト的に開始し、農園の中でゲイシャに合う気象条件の場所を探したとのこと。パナマのゲイシャとは少し異なる風味。

【ホンジュラス】エル・プエンテ農園

ホンジュラス、ラ・パス県、チナクラの標高1,550mにある農園です。
ゲイシャの栽培は2006年からですが、2016年カップ・オブ・エクセレンス(COE)で史上最高値で落札されたことにより注目を浴びました。

ゲイシャのコーヒーを味わう

具体的に、どんな味?

ゲイシャは個性的な風味について、さまざまな表現がなされています。

ゲイシャの持つ風味特性

フローラル:ジャスミン
酸:レモン、ライム、ブラッドオレンジ
甘さ:マスカット、パイナップル、蜂蜜、キャラメル
飲み物:白ワイン、みかんジュース、紅茶のアールグレイ、チョコレートのような後味

これだけでも、かなり複雑な味がすることがわかります。

コーヒーを飲みなれていない初心者でも、カップを口に近づけただけで立ち昇ってくる華やかな香りから、他のコーヒーとは違う!という驚きを感じれるでしょう。

ゲイシャは少し冷めた方が強くなっていく香りがあるので、時間による変化も楽しめます。
やはり実際に味わってみないと…ですね!

ゲイシャの精製方式による味の変化

少し専門的になりますが、コーヒー豆の味を構成する要素の一つに精製方式があります。ゲイシャもどんな精製方式かによって、最終的なコーヒーの風味が変わってきます。

コーヒーの精製とはコーヒーチェリーと呼ばれる果実から、生豆と呼ばれる種を取り出すまでの加工工程のことです。

ゲイシャで主に適用される精製方式は、主に2種類です。

ウォッシュト(水洗式): 水を多く使って洗い流す伝統的な精製方式
ナチュラル(非水洗式): 水が少ない産地で、天日干し後に脱穀する精製方式
※他にもハニープロセスなどの精製も現在は採用されています。

もともと精製方式の選択は水が豊富か?天日干しできる場所があるか?といった産地の事情で選択されていました。
しかし、同じコーヒーをウォッシュトで精製するとクリーンで明るい風味となり、ナチュラルで精製すると果実感の豊富なジューシーな風味になるという傾向に気づき、最近では最終的に作りたい味のために、あえて精製方式を選択するケースも増えてきました。

ゲイシャの場合も、ウォッシュトとナチュラルで精製方式が違うと、風味がはっきりと違います。
買うときに、ゲイシャの中でも精製方式を意識して選ぶのも楽しみ方の一つと言えますね!

ゲイシャの焙煎傾向

ゲイシャの場合は、しっかりした酸味やフルーティーさを生かすため、あまり深煎りにせず浅煎りから中煎りまでが選ばれる傾向にあります。ちなみに、あえて深煎りにしたゲイシャにも独特なゲイシャフレーバーは残りますが浅煎りほど強くは感じられません。

コーヒーの焙煎士は、そのコーヒーの持っている特性を引き出す焙煎をしようと常に考えています。ゲイシャを専門店の店頭で購入する場合は、焙煎の深さ(ローストポイント)とその理由を聞いてみるのもよいでしょう。

おすすめの飲み方

ゲイシャの豆を買ってきたあと、ペーパードリップやカフェプレスなどでゲイシャらしさを十分楽しむことができます。
最も手軽に楽しむにはカフェプレスが最適です。

ゲイシャは、特に香りを楽しむコーヒーです。
注いでから口に含むまでの最初の香り、少し冷めてからの香り…と変化をぜひ感じてみてください。

まとめ

いかがでしたか!?

見捨てられていたゲイシャという野生種のコーヒーが、世界から注目されるに至るまでのストーリー、そして他の品種を圧倒するような華やかな風味。

本当に魅力的だと思いませんか?

ちょっと高価なコーヒーですが、まだ飲んだことがないなら一度ゲイシャを味わってみてくださいね。その奥深さは、飲んだ人にしか分からない優越感を与えてくれますよ。

コーヒー・アート・本にテクノロジーなど、幅広いジャンルで執筆しているフリーランスのライター。仕事で大切にしているのは「わかりやすさ」と「共感」
ITコンサルタントの顔も持つがコーヒーが好きすぎて焙煎の修行中。

 

【所有資格】
SCAJ アドバンスド・コーヒーマイスター

【編集長より一言】
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が認定するコーヒーマイスターの上級資格であるアドバンスドに合格。コーヒーの専門家でありながらも、一般的な視点でコーヒーの事を優しく教えてくれる心強い味方。

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